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手記 その3

 

東京から2人のお子さんと母子避難中の方です。
育児だけでも大変なのに、他の避難者のためにいろいろイベントを企画したりと頑張り屋さんのママです。


堺市に東京都から母子避難中の30代主婦です。
 私は、震災の4日前に、当時生後10か月の娘と3歳の息子を連れて、ここ堺市へたまたま運よく里帰りをしていました。そのままこちらでしばらくは母子避難生活を続けようと決心し、一度も東京には戻っていないので、関東での被ばくはしていません。

東京はチェルノブイリ事故後のウクライナと同じレベルの汚染になっており、いまだに福一からフレッシュな放射能が大気中などに漏れ続けているということと、土壌検査の数値を照らし合わせただけでも、大変危険な状態だと認識しています。
夫は40歳半ばで、転職するリスクを考えると、このまま東京で今の仕事を続けて行ったほうがいいと判断している様で、この一年間移住に向けた話し合いはずっと平行線です。

実家だと言っても、母が父と離婚後一人で生活する為に借りた狭い文化住宅での生活で、家賃や生活費はもちろん支払わないといけないですし、二重生活でかなり金銭的には厳しく、交通費が捻出出来ない為、もう4か月も夫に会えていません。

 この一年間で夫の知らないうちに、娘はあんよができるようになり、おしゃべりもできるようになりました。可愛い盛りの子供たちを夫に見せてあげられないことが哀しくてたまりません。

仕事で忙しくても、同居していれば、毎晩寝顔を見ることができるのに、それすらも出来ないでいる夫の心中を思うと、平常心ではおられず、原発さえなければと、やり場のない気持ちを、政府や電力会社に対しての怒りに、変えてしまっています。

 子供たちを被ばくから守ろうとすれば、汚染食材を使っているかもしれない外食ばかりの夫の被ばくは、野放しになります。夫は仕事でセシウム花粉の舞う中、汚染された雨にも打たれながら働いています。私の作った料理を食べさせてあげられないのが心苦しく、夫の健康状態がとてもとても心配です。

 そして、政府による海外から見れば恐ろしいほど高い食品の暫定基準値のせいで、食べ物からの内部被ばくによる危険を、ここ堺市にいても感じます。もしも東京の親族になにかあればすぐに帰らなければならないので、被ばくによる足し算を少しでも抑えたい為、食材選びにはとても気を使い、息子の幼稚園も、お弁当持参の所を選んで入園させました。大阪の国の基準に従った給食への姿勢へも、大変不安に感じています。

 そして、ここへきて放射能やアスベストなどで汚染された瓦礫がここ大阪でも、私たちのすぐ近くにある一般焼却場で、燃やされるかもしれなくなったと聞いて、とてもショックを受けています。

 こんなに子供や夫にさびしい思いをさせてまで、被ばくから子供たちを守っているのに、それがすべて無駄になる気がしていたたまれない思いです。

 私は、被ばくに閾値は無く、少しだからさせていいということでは無いと思っています。ですので、少しだから市民に被ばくさせてもいい!と思われている政治家の皆さんたちの心の中に、愛情というものが存在するのかと、不思議でなりません。あの方たちは、お母様に愛されて育てられたのでしょうか?

 私は、汚染されている瓦礫は、被災地ででも一般の焼却場では燃やすことは危険なので、やめていただきたいと思っています。親になってから不思議なことに、他人の子供たちだって、みんな元気に健康に育って欲しいと思うようになりました。
 
被災地の子供達を大阪に保養で受け入れたり(これはすでに私が知り合った人たちが実行しています)、汚染の少ない関西の食材を送ってあげたり、もっともっと被災地支援の方法はたくさんあると思います。
 
 そして、何より不思議で不気味なのは、この問題に東電が一切出て来ないということです。加えてメディアによる広域処理推進への多額の税金投入。私は、この国が恐ろしくてたまりません。まるで戦時中のような情報統制。
 
グーグルマップでの岩手県の衛星写真を見ても、瓦礫があっても復興の妨げになんかなっていないことが一目瞭然です。土地はたくさん余っています。真実はどこにあるのでしょうか?もう一人子供を産みたかったのですが、もうこのような国では育てられないと思い、諦めました。
 
 それと、私は大阪の歴史や文化が好きなのですが、古墳などが放射性物質で汚染されてしまうことが心配です。なぜかというと、森は除染できないのです。森を除染するということは、木を伐って、土を剥がさなければならないのです。そんなことをすれば、古墳は古墳でなくなってしまいます。せっかく世界遺産への登録など積極的に活動をしてくださってる人たちがいるのに、これはとても残念なことだと思います。
 お茶べり会で、避難ママさんたちの話を聞くたびに、ただでさえ子育てで大変な時期に、内部被ばく対策などを、なんて頑張っているんだろうと心打たれます。そして、私も頑張らなければと思えます。とても励みになるんです。皆で子供を守りましょう。

 長くなりましたが、読んでいただき、ありがとうございました。